大会長挨拶

 精神疾患の多くが慢性的な経過をとるため、一般診療のみでは十分に改善は得られず、医療福祉的サービスの出番となることが増えました。今回の研修会のテーマは「精神科医療サービスをきわめる ~開港の地 横浜からの新たな船出~」としました。現時点で精神疾患に提供できるサービスを究め、また極める研修会としたいと考えています。

 11月18日土曜日の午前中は「相模原の事件について」シンポジウムを企画しました。平成28年7月26日未明、相模原の障がい者施設「津久井やまゆり園」を襲った戦後最悪の大量殺人事件を忘れることができません。この事件により「同様の事件を引き起こすおそれのある」加害者として、あるいは「同様に殺されるのではないか」という被害者として障がい者が二重に苦しめられることになりました。被害者の家族の皆様の心情を測るに同情を禁じ得ません。親族の気持ちを思うと被害者の匿名性にも同意させられます。神奈川では川崎の有料ホーム殺人事件、大口病院入院患者殺人事件と弱者虐待と予想される事件が相次ぎ、この相模原の事件もその弱者差別を通奏低音とし延長線上にあるように感じられます。シンポジストに井原 裕先生、斎藤 環先生、松本俊彦先生という3名の論客を予定しています。各々の立場で存分に語り、みなさんと議論を深めて頂きたいと期待しています。同日午後に予定している市民公開講座は松本ハウスさんに登壇をお願いしています。全国を精力的に回り、講演を続けていらっしゃる。当日は当事者の人たちにも協力をお願いしています。楽しみにしていてください。

 翌19日日曜日の午前は教育講演「ユマニチュード®」を第一人者の本田美和子先生にお願いしています。認知症患者ばかりでなく、一般の患者さんへも応用が利くはず。午後の特別講演「オープンダイアローグ」も旬の話題です。森川すいめい先生には臨床現場での実践について十分に時間を割き、お話しいただきます。こちらも消化され、身に着けていただきたい。平成28年6月に第1回の実行委員会を開き、多数の医師、コメディカルの意見を伺い、時機を得た様々なテーマが候補に挙がりました。最終的に「リワーク」「CBT」「認知症」「ケア1」「リカバリーカレッジ」「ピア雇用」「就労」「運動」の八つの分科会に結実しました。P1グランプリ(G)の代わりに、新たにケア1-G、D1-Gを企画予定です。奮って応募、参加していただきたい。当日の皆様の反応は如何なものか?今から楽しみです。

 11月の横浜は食事も観光にも最高の季節。神精診会員、実行委員一同、精一杯のもてなしを提供させていただく所存です。どうぞ横浜にいらしてください。
  
  

第18回チーム医療・地域リハビリテーション研修会 神奈川大会
大会長 斎藤 庸男